新しい画面を千羽のカラスが飛んでいる ― そのうち五羽は、向きを誰にも合わせない

CAW の公開テストネットの入口の画面には、たぶん誰も立ち止まって見ない背景がある。カラスの群れだ。しかもその一羽一羽が、CAW のロゴそのものでできている。❶ 鳥の形は、CAW ロゴの「一羽版」からそのまま抜き出した図形を使っている——コードの3行目に、作者自身がそうコメントしている。❷ 何羽いるのか。羽数は画面の広さで決まる——Math.max(150, Math.round(area / 2073))。1920×1080 の画面なら約1,000羽、スマホなら150羽から190羽ほどのあいだに落ち着く。❸ そのうち10羽だけが特別で、選ばれ方は拍子抜けするほど単純だ。並び順の先頭5羽が金、次の5羽が白、残りはかろうじて見える程度——暗いテーマでは淡い白、明るいテーマでは淡い黒になる。❹ 残しておきたいのはここから。隣の鳥から受け取る三つの力——ぶつからないよう離れる/同じ向きにそろえる/みんなの方へ寄る——は、たった一行に置かれた同じ数字で、まとめて掛け算される。白は 0、金は 0.05、その他は 0.5。白い5羽は、三つとも0倍だ。隣がどちらを向いても、向きを変えない。それでいて、群れから切り離されているわけでもない。速さの波が伝わってくれば、その波にはちゃんと乗る(速さ側の係数は 0.3)。しかもこれは偶然ではなく、2つのうち後のコミットに「白い鳥も波に加われるよう、速さを向きから切り離した」と書かれている。自分の向きは変えないまま、それでもみんなと一緒に進んでいく、ということだ。種明かしをすると、これは「boids」と呼ばれる群れのシミュレーションで、1986年に Craig Reynolds が作ったもの。金と白の割り当ても i < 5 と i < 10 ——ただの並び順で、深い意味は込められていない。5羽ずつの固定になったのは 2026年4月、速さの波が入ったのは 2026年6月5日、18分ほど違いの2つのコミット(どちらも AI が共著者として署名されている)。それが何を表しているのか、誰も説明していないし、たぶん何も表していない。──なぜこれを残したか。誰にも「見てくれ」と頼まれていない背景に、背景に必要な以上の手がかけられていて、その中に、自分の向きは誰にも合わせないまま、それでも群れと一緒に進んでいく5羽がいるからだ。(コードは 2026年7月28日時点・v1ブランチ)🐦⬛